―行動障害の支援の前に知っておきたい‘問題解決ではない支援’―
日時:2023年7月19日(水)10:00〜16:30
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター 401室(センター棟)
内容:
講義 「自閉症の方々とかかわるための基本〜
‘行動障害の支援’の前に知っておきたい‘問題解決ではない支援’〜」
講師 横浜国立大学 教育学部学校教員養成課程(特別支援教育)
准教授 神山 努 氏
鼎談 グループワークへの導入〜参加者からの質問や午前の講義をもとに〜
神山 努 氏 × 企画担当運営委員
午前は横浜国立大学教育学部准教授の神山努先生の講義を拝聴し、午後は企画担当運営委員と神山先生の鼎談、講義を受けて寄せられた参加者の皆様からの質問に先生よりご回答いただくトークセッション、及び参加された皆様同士のグループワークにご参加いただきました。
午前の神山先生の講義では「自閉症の方々とかかわるための基本」として、「ポジティブ行動支援(PBS:Positive Behavior Support)」についてお話しいただきました。自閉症の方々が抱える行動上の問題について、その行動上の問題を減らすためにも、適応的な行動を増やすこと、その方の生活している環境を豊かにしていくこと(環境の豊穣化)の大切さを教わりました。問題行動をしなくても良いよう「迂回路」となる行動を作り、引き出していくこと。生活環境においてはご本人らしく活動できる機会や選択肢を創出することで、相対的に行動上の問題を減少させるという考えです。
また上記の支援を検討するには、その方が「困る行動をする」背景には、①必要なものがある、②避けたいものがあること。困っていることの表現を①できない(適応的な行動ができない、知らない)②やらない(適応的なやり方は知っているが、問題行動を取った方が効果的)という整理の枠組みで捉えること。「直前の状況」「行動」「直後の状況」に分けて捉えることで、言葉での説明がなくとも状況が物語ることを元に支援の糸口を探ることについて、神山先生ご自身の経験を踏まえての具体的なエピソードを踏まえて、詳細にご説明いただきました。
午後の鼎談とトークセッションでは、午前の講義に準えて、それでも現実的には現場で困っていることなど、実感のこもった質疑応答が多く寄せられました。また、グループワークではそれぞれの現場での取り組みや、困っていることのシェアをしていただきました。皆様の積極的なご参加のお陰で、会場に熱気が立ち込めるほどの闊達なグループワークになったと存じます。
最後に、支援の技術というのは、問題解決のみならず、ご本人が生き生きと主体的に周りに向けて働きかけ、そしてそれがコミュニケーションとして成立していくような関係作り、豊かな環境作りに向けて活用するという方向性を、改めて「基本」として皆様と共有できたことを心強く思います。 (担当 角 拓海)

